表紙へもどる



画像集
ジャタツアーズの入り口 盗難に備えて警戒厳重
ジャタツアーズにてツアーのメンバーとスタッフの松野下さん
ジャタツアーズにてツアーの社長の席 モデルはスタッフの松野下さん



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
【連載その3】『タンザニアの農村滞在と民族音楽』に同行して 
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
(株)マイチケット 山田 和生
 8月17日より8月29日まで、南部アフリカネットワークが
呼びかけたタンザニアへの旅行に同行したレポートの3回目。
---------------------------------------------------------
■□■ 中間段階を飛ばした技術 ■□■

 マイチケットでの毎日の作業の中で最も交信の回数が多いのがタンザニアのジャタツアーズである。5時間の時差があるので、日本時間の午後2時ごろにタンザニアから最初のメールが来る。この後はまるで、マイチケットの隣の部屋がタンザニアのジャタツアーズではないかと感じるほど頻繁にメールのやりとりがある。文章だけではなく、画像のやりとりもあり、インターネットを使った音声の交信も実験中である。回線はISDNの常時接続を利用しているので、いくら使っても費用は固定されている。こんなふうに、インターネットの世界で情報の処理をしていると地球サイズの距離感が怪しくなってくる。
 関西/香港/バンコク/マスカット/ザンジバル/ダルエスサラームと移動する気の遠くなるような、狭い機内での長い長い時間の果てにたどり着いて、毎日交信している、根本さんや松野下さんと顔を会わすと、インターネットの世界の距離感と実際の距離との落差の大きさに違和感を感じて、不思議な感覚に陥る。
 日本とは異なる緩やかな時間の中で人々が暮らしているダルエスサラームの中で、ジャタツアーズのオフィスだけに日本にあわせた時間が流れている。それでも、オフィスの椅子に座って一日眺めていると、インターネットで伝わる情報だけでは想像できないこの国の様々な事情が見えてくる。
 タンザニアでの電力は水力発電に頼っている。乾期のなかごろとなるこれからの季節は、発電に使う水が底をつき、計画停電が始まる。停電の予告のお知らせが入ると、ダルエスサラームの街の一部が次々と停電する。ジャタツアーズのオフィスが停電する日はコンピ
ュータを使うことができない。そこで、電気を求めて、コンピュータを持って、街中を移動することになる。自宅が停電でない日は自宅で仕事をしなければならない。
 自動車の故障も多い。私の滞在中もジャタツアー所有の13台の内、3台が修理中であった。通勤や町中の移動はジャタツアーズ専属の運転手付きの車を使うことが多い。仕事をしている間、運転手は駐車場で待っていることになる。長時間にわたって人を待たせて
おくことなど日本での日頃の生活ではありえないので申し訳ない感じがして、落ちつかない。運転手が全員携帯電話を持って連絡をとる体制ができていることは、ハイテクを活用するジャタツアーズの自慢のシステムであるようだ。それでも、車の故障が重なると、日
本人スタッフである松野下さんの通勤の足がなくなり、バスでは時間がかかるので、自宅で仕事をすることもあるそうだ。
 ジャタツアーズではコンピュータでメールを送る場合、そのたびにプロバイダーに電話をかける。このようなダイアルアップ方式は日本でも珍しくないが、ダルエスサラームでは、昼間はプロバイダーへの接続が難しくなる。私が、ジャタツアーで試みた際にはダイ
ヤルを10数回繰り返してようやくつながった。所要時間は20分以上を要している。メールチェックは昼の混雑時を避けて、朝か夜に要領よく送らなくてはならない。ということは文章を作りためて一気に送ることもあるのかもしれない。
 街中では自転車をほとんど見かけない。バイクはもっと少ない。人々は歩いて移動するか自動車で移動している。東アジアや東南アジアでよく見かける自転車やバイクの段階を飛ばして、いきなり自動車の段階がやってくる。
 電話がほとんどない、あっても通じにくい世界からいきなり運転手が全員携帯電話を持つ段階がやってくる。緩やかに流れる時間の中で、中間の段階を飛ばした技術が、異様な速度で物や情報を運ぶ。
 ジャタツアーズは、日本の時間の流れと、タンザニアの時間の流れを上手に使い分け、両立させて日々の仕事を進めている。送られてくる無味乾燥なデジタル情報であるメールの行間に、二つの時間の流れを読みとり、様々な現地事情を推測する想像力が日本側の私
たちに求められているようである。

次号に続く