目的

 かけがえのない地球にともに暮らす人類にとって、自然環境と人間文明との調和は欠くことのできない生存の条件となっています。しかし、それは言うに易く、行うに難い課題です。社会経済的発展を求める人々の欲求は、とりわけ開発途上の地域では、人々の切実な生存の欲求と結びついており、抑制することは容易ではありません。

 なかでも、アジア・太平洋地域は、今、未曾有の開発の時代に突入しています。急速な工業化によって人々の生活は近代化し、豊かになりつつある反面、「農」を基盤とした伝統の生活様式は急激な変容を受け、環境の悪化や生業の崩壊など、深刻な問題を生じさせ、自然環境やさらには人間生命の破壊をも招来する可能性が憂慮されています。

 しかし、それらの問題を単に外部から高見にたって指摘するだけでは、問題の真の解決はもたらされません。同じくアジア・太平洋地域に暮らす一員として、これらの地域の「農」を基盤とする生業のあり方から深く学び、ともに考え、意見を交わしながら問題の解決の方向を模索してゆくことが必要です。

 「農」とは、単に農業のことを指すのではありません。「農」とは、本来、農業、漁業、林業、牧畜、養蚕、機織りなど、人間生活の第一次分野に関わる生業の総体を指す概念でありました。私たちは、このような「農」のあり方の根元を常に自問することが、今後のアジア・太平洋における人間と環境との調和の問題や持続可能な発展を可能にする条件を探りだす重要な鍵となると信じます。そして、そのことは、同じくアジア・太平洋の一つの島嶼社会である日本の行く末を考える上でも、重要な鍵となるでしょう。 

 私たちは、「農」を基盤として生活をするアジア・太平洋の人々の暮らしに学び、交流を通してともに考え、平和への願いと人権の尊重を共通の価値として分かち合いながら、人々の自発的で持続可能な発展の試みを支援する活動を行うことを目的として、特定非営利活動法人・アジア太平洋農耕文化の会を設立しました。



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