《買う日によって違う値段 格安航空券の仕組みは?》
◆閉店前のスーパーと同じ 売れ残るより値引き
ある格安航空券販売会社の1月下旬の宣伝チラシ。ロサンゼルス往復50,000円、ハワイ往復49,800円…・。大阪−那覇間の往復料金51,700円よりも安い。格安航空券が登場したのは、1970年代のオイルショックのころとされる。ホテル代や食事代などを織り込んだ「パック旅行」の売れ行きが不振となり、これを打開する窮余の策だったという説が有力だ。
事情はこうだ。旅行会杜が、航空会社から団体旅行用の割引運賃で航空券を大量に仕入れて、パック旅行を組み立てて売り出す。ところが、売れ残る場合がある。
売れないまま捨て置くより、現金収入につなげる方がいい。より多く売れれば、航空会社の覚えもめでたい。
そこに参入してきたのが格安航空券を販売する会社だった。少しでも早く売り切りたい旅行会社や航空会社から1円でも安く仕入れ、個人客に売る。同業他社がどの程度の値段をつけているか、利用期間の制約はどの程度かなど条件をやりとりする中で、「仕入れ値」が決まっていく。
飛行機の出発日時が迫っても売れ残っている場合、さらに値下がりすることもある。ある格安航空券販売会社の営業担当者は「時には完売した時に航空会社から旅行会社に出る報奨金の分まで割り引いて売りに出されることもある」と打ち明けた。つまり、格安航空券の市場はスーパーの鮮魚売り場に似ている。閉店の一時間前、刺し身のパックに「百円引き」のシールが張られる。まとめ買いの客にはサーピスする。それでも売れないと、閉店間際にはさらに値引きされる。航空券の値段も同じ事情なのだ。日々刻々と動いていく。とはいえ、この市場は格安航空券の販売会社側に有利な「買い手市場」とばかりは言えない側面もある。引き受けた格安券を売り切ることができないと、信用にかかわり、航空会社や旅行会社から販売力を疑われて次の取引をしてくれなくなる。 元々が「薄利多売」の業界。黄金週間や夏休みの航空券を航空会社などから大量に仕入れて売りたい。需要が多い時期なら、値引き率が少々悪くても売れる。「その時期の航空券を多く仕入れるため、客の少ない時期の券を無理しても売って実績をつくり、航空会社の信用を得る」。こんな駆け引きもあるという。
◆様々な制約・条件 利用する前に確認を
格安航空券が安いのには安いだけの理由がある。行きも帰りも搭乗便の変更ができず、払い戻しもできないなど様々な条件がつく。正規料金の個人用航空券が一年間有効で、その期間なら自由に便を選ベ、払い戻しもできるのとは大きく異なる。日本旅行業協会(JATA)が受け付けた、97年の苦情と相談4,076件のうち、293件が格安航空券についてだった。「航空会社とのトラブル」の47件、「ホテルとのトラブル」の55件よりはるかに多い。
格安航空券が登場し始めた70年代には、国内外で航空券の販売価格が異なることに目をつけ、海外で手に入れた「輸入航空券」を販売する業者も現れた。日本の航空会社が日本での販売額との差額を徴収したり、飛行機への搭乗そのものを拒否したりして騒ぎになったこともあつた。
欧米では、航空券の多くは航空会社が利用者に直接販売する。売れ残りそうになると大胆な値引きは珍しくない。一方、日本では、国際線の航空券は航空会社から旅行代理店を通したルートが主流だ。
そんな中で、格安券販売会社が成長してきた。
都市名 正規料金 格安料金
ロサンゼルス 371200 39000〜
ニューヨーク 502900 55000〜
ホノルル 304600 43000〜
ロンドン 598600 65000〜
パリ 598600 61000〜
ローマ 598600 65000〜
ソウル 65100 23000〜
香港 146900 35000〜
グアム 129700 35000〜
シドニー 412800 67000〜
(単位=円。いずれも2月l日現在のエコノミー切符。正規料金は国際航空運送協会が定めた額、格安料金は大手格安航空券販売会社まとめ)