期間:2005年2月28日〜3月6日 池田勤さん (滋賀県)
「カンボジア子どもの家」スタディツアーに参加して
カンボジア子どもの家を離れてからもう一週間以上も経ったのかと思うと不思議な気分です。あそこでのことは何もかもが新鮮でした。タイからカンボジアに入国したとき、たった少しの距離を歩いただけで風景と人々の様子がガラリと変わりました。貧富の差という現実をはじめてしっかりと体感した気がしました。靴もなく汚れた服でボロボロの荷車を引いている子ども、腕がなくずっと座ったまま物乞いをする人…。タイは日本とほとんど変わらない。カンボジアはどうしてこうも違うのか。ボーダーという見えない壁がそれほど高いものなのか。同じ人間だというのに。何も考えられませんでした。それが現実。人や車の往来をただ眺めることしかできませんでした。
子どもの家に着くと別日程でスタディツアーに参加しているお客さんが何人か滞在していました。みなさん、個性的で魅力的な方ばかりでした。特に人生経験が豊富な年配の方の話はとても興味深く聞かせていただきました。目を輝かせて元気に過ごしている様子は今でも印象深く覚えています。また、カンボジアに格闘技を広めようと野心を抱いている男性の方がいて、その熱意と男らしさに力をいただいた気がします。
子どもの家のスタッフや子どもたちは人数が多く、名前の発音も難しく覚えられなかったため、すぐに仲良くはなれませんでした。けれど、日本語の授業に参加したり、一緒にサッカーやバレーボール、格闘技をしているうちに徐々に会話ができるようになりました。仲良くなると本当によく笑ってくれました。少しはにかんだ笑顔も、はしゃいでいる笑顔も、嬉しそうな笑顔も、心の奥底まで染み入ってくるような素敵な笑顔でした。
子どもの家ではほとんど学校へ行っていました。移動図書館(紙芝居)や授業、休み時間など、とにかくカンボジアの子どもたちと一緒にいたかったので同じように行動していました。国語の授業では黒板の字を隣の子どもに教えてもらいながら必死に写しました。一緒に文章を斉唱したりもしました。算数の授業では周りのみんなも巻き込んで引き算の問題を解いて先生から添削をしていただきました。
学ぶということがこんなに楽しいものだったとは思いませんでした。日本にいると当たり前のように小学校や中学校へ行き、塾にまで行く子どもも多い。僕自身も塾も中学受験も経験しており、勉強はやらなければならないもの、嫌々でもやっておいたほうがいいもののように感じていました。しかし、ここでは違いました。子どもたちが一斉に手を挙げる様子、大きな声で発表する様子、先生に褒められて誇らしげにしている様子、イスから身を乗り出して授業に聞き入っている様子…。全てから感じるのは「勉強がしたい、楽しい」という強い想いでした。
休み時間はみんな本当に楽しそうにしていました。サッカー、バレーボール、ゴムとび、取っ組みあい、おしゃべり、それぞれが楽しそうにしています。僕もいろんなところに混ぜてもらいました。その中で気づいたことは仲間はずれがいないということです。日本だったら仲間はずれで一人寂しそうにしていたり、一緒に遊びたくてもみんなの承諾がなければ混ぜてもらえないことも多いと思います。ここではそんなことはありません。自然と仲間に加わっているし、自然に抜けていったりもする。何か文句を言う子がいるわけでもなく、みんな大らかで細かいことは気にしない。だから誰もが楽しんでいました。ちょっとしたことでも大笑い、大喜び。本当に気持ちがいい子どもたちでした。もちろん、ケンカもあるし、もめたりすることもありましたが、高学年の子どもがやってきてスパッと止めてくれます。子どもたちは生きる上で大切なことも自然に学んでいるような気がしました。
このツアーに参加して本当にカンボジアが好きになりました。カンボジアの人たちはとても豊かな心を持っています。何も日本に残していることが無ければもっと長い間滞在してカンボジアの人たちと触れ合いたい、本気でそう思いました。最初は人から話を聞いてちょっとした興味から参加したいという程度でした。今回のツアーでカンボジアでのことが大きく心に焼き付いて離れません。次はあの子どもたち、あの人たちに会いにこのツアーに参加したいと思います。またいつか必ず会いに行きます。
最後にこのツアーでお世話になった日本人スタッフの皆さん、子どもの家のスタッフや子どもたち、スタディツアーの参加者の皆さん、ツールボンロー小学校の先生方や子どもたち、その他お世話になった全ての皆さんに感謝します。ありがとうございました。