地域に学ぶことをとおして地球環境を守り、持続可能なくらしを実現する
Link〜森と水と人をつなぐ会〜 まっぷらん  創刊号(改訂版)
2004
1224

“まっぷらん”は、チェンマイを拠点に活動するNGO:Link〜森と水と人をつなぐ会〜のニュースレターです。支援者の皆様に私たちの活動についてお知らせすると同時に、環境や開発について、一緒に考えるきっかけを提供させて頂ければと考えています。


◆Linkの設立目的と主な活動内容
Link〜森と水と人をつなぐ会〜は、今年(2004年)1月に設立された新しい団体です。設
立の目的は、「タイのチェンマイを拠点にアジア各地の人々と連帯を築き、それぞれの地域にくらす人々が民族や宗教を越えて互いを尊重し協力し合いながら、自然との共生を通して持続的な社会の実現を図ること」です。主な活動内容は、
@ヴィアンパー計画:北タイ農村の環境保全を中心とした住民主体の村落開発支援、
Aエコライフ・イン・チェンマイ:北タイ最大の都市チェンマイの環境保全活動、
B交流事業:開発や環境問題について、視察、スタディーツアーなどを通して村人や参加者(支援者)などと共に学ぶこと、です。
詳細な活動内容に関しては、今後、このニュースレター“まっぷらん”を通して少しずつ書いていきたいと思いますが、この創刊号と第2号ではLinkの主たる活動のひとつである「ヴィアンパー計画」を紹介します。
◆ヴィアンパー計画いついて(氈j
【活動の背景】
私たちの活動する北タイ地方は、その大半が山岳地帯です。ここにはタイ族に加え、たくさんの少数民族が住み、多様な文化を築き上げてきました。この地域はまた、チャオプラヤー川やメコン川、タンルウィン(サルウィン)川などに注ぐたくさんの河川の水源地でもあり、豊かな森に恵まれた豊穣の地でもあります。
 しかし近年、大規模農園開発などによって木が切られ、土砂などの地下資源の採掘が進むことによって、森が次々と姿を消しています。また現金収入の必要から、換金作物を商人の言う通りに導入した結果、多くの農民が農薬や化学肥料の購入による借金にあえいでいます。借金だらけの農民から土地を安く買いあさり、大規模農園を展開するバンコクなどの大企業もあります。村人自身も畑や田に農薬をまきますが、こうした企業の散布する農薬の量はケタが違います。換金作物栽培の拡大は水や空気、土をも汚染し、住民が公害に苦しむなど、地域のくらしが根底から揺らいでいます。子どもたちの教育の機会や医療も不十分なままです。これらに加え、特に少数民族の人々はひどい差別に苦しんできました。
こうした状況の下で、しばしば麻薬の密売や森林の違法伐採、人身売買などが人々、特に弱い立場にある少数民族や子どもたち、女性、老人などのくらしをおびやかしています。
 Linkはこれらの開発によって困難に直面する人々が、生活の基盤である森や水を守り、くらしの自立を図ろうとする活動を、主に交流を通じて支援するNGOです。

【活動地の概要】「ヴィアンパー計画」の目的は既に書いたように、貧しい農村の自立支援ですが、その端緒としてチェンマイ市から北へ約130km、チャイプラカン郡の山中にある、ホアファイという村で活動を始めています。1つの村に4つの集落、5つの宗教が同居し、タイでも屈指の森が残るこの村も、近年の森林の乱伐によって乾季には川や井戸の水が利用できないほど減り、また、雨季には洪水に見舞われるようになりました。子供たちの教育費などの出費がかさむ一方で、政府からは土地や森の利用を制限され、農産物価格は低落の一途をたどり、日雇いなどの農外就業の機会も限られる中、麻薬密売などの問題も深刻化しました。
数年前より村人の間で、このまま環境破壊がすすめば、村での生活が危うくなると意識されるようになりました。森林保全の活動が始まり、状況を好転させつつありますが、互いの利害がぶつかりあい、広く皆が協力し合うというところまでには至っていません。また、農薬や化学肥料を使わない有機農業を普及しようという動きもありますが、これも一部に限られています。
こうした中で、パカニョーという民族が中心のホイポン集落から、女性たちによる収入向上のための活動を行ないたいという希望がでてきました。

【村人とLinkの活動】Linkのスタッフがこの村と出会って約2年が経ちます。これまでも、森を守る活動に必要な地図(立体模型)の作成などを支援しながら、一貫して村の開発や自立といった問題について、村人と共に考えてきました。
「少しでもくらしをよくしたい」。子供たちの学費、医療費、生活費・・・・・・。ホイポン集落の村人が始めたのは、伝統的な機織り技術を活かした収入向上への道の模索です。
ホイポン集落の女性はみな、家族の着る民族衣装を自分で織ります。しかし製品化や販売の経験はありません。製品は村の環境保全や健康を考えて、化学染料を使わないものを作りたいというのが村人の考えですが、かつての草木染めの技術はほとんど失われています。
Linkは、村人のグループが役所などから支援を受けるために必要な手続きの方法や、そういった担当部署や関連機関との連絡の取り方、各種技術研修や販路に関する情報収集の方法などをアドバイスしたり、すでに機織りの住民グループがあり、活動が収入向上に結びついている村との交流を通して学ぶ機会を提供する、といった支援を行なっています。
いずれの支援もモノや情報を直接提供するのでなく、住民自身の知識や経験、資金、時間、ネットワークを活用して進めます。これはLinkの活動終了後、新しい問題が起き、村人だけでそれらに取り組まなくてはならないという時に、今回の経験が活かせるようにするためです。また、ホイポン集落と同じように「資金もツテもない他の村人が参考にできるような村つくり」ということも念頭におかれているためです。

次回は、「Linkのめざす持続的農村開発」や「交流事業」などについて書こうと思います。

◆これまでの活動内容(2004年)
1月
 Link〜森と水と人をつなぐ会〜設立(代表:木村 茂) チェンマイに事務所設置 / 東
京国際大学国際関係学科 杉本篤史研究室内に在日事務所開設 <木村一時帰国>〔講演:
追手門学院大学(大阪府茨木市)、「アジアン・フェスティバル準備会」(同左)、関西NGO協議会〕  2月 チェンマイ事務所にて研修生受け入れ(開発教育関連. 2週間) / チェンマイを拠点に活動するNGOに関する情報収集・交流 / 活動地(チェンマイ県ファーン川流域、チェンライ県メーラオ川流域)での調査開始  3月 環境保全活動の一環としてフリーマーケットを実施 / 北タイNGO 研究会「読書会」参加(〜8月) / 会報「まっぷらん」創刊準備号発刊  4月 合成洗剤の代替案としての手作り石けん作成活動開始 / アジアン・フェスティバル参加(大阪府茨木市)  5月 オレンジ石けん工場見学 / PeeSG(参加型環境教育研究会)、チェンマイ大学理学部生物学教室と交流。両者共催の環境保全プロジェクト支援。ピン川流域調査などについての意見交換  6月 <木村一時帰国>北大、北海道環境財団などを訪問(環境教育や開発教育について専門家と意見交換)
/ 〔講演:御茶ノ水女子大学、明治学院大学〕 / PeeSG報告会参加 / 環境問題に取り組むNPO「山のecho」事務所、共立理化学研究所を訪問。水質調査などに関して意見交換 7月 支援組織「キムを囲む会」会合出席 /〔講演:追手門学院大学、関西NGO協議会〕 / 第1回 Linkスタディーツアー(ST)実施(7月23日〜8月1日) / 廃油石けん試作  8月 滋賀大学&チェンマイ大学共催の環境教育セミナー協力 / 開発教育協会、YMCAなど共催の「持続可能な開発のための教育に関する日・タイセミナー」協力 9月 ホアファイ村住民会議、ファーン川流域ネットワーク(住民組織)、ホアファイ村婦人グループなどと協力関係に関する話し合いを開始 / 農民の手工芸品販売(主として布類)による、収入向上活動に関する情報収集開始  10月 ホイポン集落(ホアファイ村)における、手工芸品販売による収入向上事業の可能性に関する検討開始  11月 「アジア太平洋農耕文化の会」ST協力 / ホイポン集落で手工芸品販売による収入向上事業に関する情報の検討 / チェンマイ大学社会科学研究所主催「グローバリゼーションと少数民族」出席 / 第2回Link ST実施(11月21日〜29日)  12月 村人による手工芸品販売に関する先進事例であるジェーソーン村の村人による講習会(ホイポン集落) / 第3回Linkスタディーツアー実施(神戸大学 12月9・10日) / ホイポン集落村人のジェーソーン村への視察 / 手作り石けん講習会実施 / 明治学院大学のSTで講演 / ホイポン機織りグループの会則などの整備支援(郡の地域開発局に登録するため)


◆スタディーツアーのお知らせ
豊かな自然が残り、さまざまな民族が多様な文化を織りなす北タイ地方を訪れ、Linkの活動地などで土地に生きる人たちと交流しながら開発とくらし、農業、食料、文化、日本との関係といった問題について考えます。現在、参加を呼びかけ中の第5回ツアーの日程は2月20日(日)〜26日(土)、第6回は3月14日(月)〜20日(日)。出発地は成田と関空の双方を設定しています。問い合わせ・申し込みはE-mailでkimsanx2@yahoo.co.jp まで。また、詳細は下記のホームページでも見ることができます。
http://www.myticket.jp/CNX00.html
老若男女を問わず、さまざまな立場の皆さんの参加を得て、より有意義なツアーにしていければと考えております。皆様の参加をお待ちいたしております。

◆ご支援いただいた皆様へ
Linkの活動開始以来、たくさんの方々にご支援を頂いてきました。Linkではご支援いただいた方々のお名前を個人情報のひとつと考え公開しない方針ですが、この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

◆支援のお願い
 現在Linkの活動は、すべてみなさんのご寄付で成り立っています。2005年度の活動資金は430万円を予定。このうち12月の現時点で280万円が不足しております。頂いたご寄付は交通費、通信費、地図作成費などの活動費全般に使われます。みなさまのご協力をいただければ幸いです。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
 ご寄付の振込先:郵便局の郵便貯金です 
口座番号: 00110−9−703787
口座名称: Link〜森と水と人をつなぐ会〜


◆編集後記
 今年の3月3日付けで“まっぷらん”の「創刊準備号」を発刊しました。これに際しては、いくつもの有意義なコメントをいただき、早々にも「創刊号」をと思っていたのですが、プロジェクトの立ち上げに忙殺され、きょうまで発刊が伸びてしまいました。これまでにも団体設立以来、たくさんの方からご支援を頂き、また貴重なご指導・ご鞭撻を頂いてきました。こういった皆様のご協力によって、ここまでやって来られたものと思います。しかし活動が本格化し始めたものの、資金的には非常に厳しく、引き続き皆様のご支援を仰ぐべく、重ねてお願い申し上げる次第です。今後ともよろしくお願いいたします。
◎Link連絡先  *E-mail kimsanx@loxinfo.co.th
*住所:Link P.O.Box, Phrasing Post Office, Chiang Mai 50205 THAILAND

表紙へもどる