表紙へもどる


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
 【連載】「カンボジア漂流記」第2回  斎藤雅之
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
アランヤプラテートを出ていざ国境へ。トゥクトゥクというバイクタクシーに乗り、始めて見る国境なるものに期待を膨らませて、スピード無視で突っ走るトゥクトゥクから景色を眺めていた。もう着くよ、と教えてもらったその瞬間、数人の男達がトゥクトゥクに飛び乗ってきた。何だこいつらは?朝っぱらから強盗か?と、結構な恐怖を覚えたが、彼らの正体はバイクが止まってすぐにわかった。我々日本人ツアーの周りに大勢の子供や若い男が集まってきて、傘をさして日差しから守ってくれたり荷物を運んであげるというしぐさをしている男もいるし、ただ両手を合わせてこちらをじっと見つめる婆さんもいる。そう、彼らは我々から金を貰おうとしているのである。正直呆気にとられた。みんなみすぼらしいと言ったら彼らに失礼かもしれないが、まともに綺麗な服を着ている人はいない。あちこち破れてボロボロになった服ばかりである。ふと周りに目をやると、そんな感じの人達で溢れかえっているではないか!オカさんはここにいる人達のほとんどはカンボジア人であるという。まだ国境を越えたわけでもない。ここはまだタイ国内なのだ。始めて見るこの光景に言葉を失った。と同時にカンボジアに入国してすぐの町ポイペットの予想が頭の中に完成した。
 きっとここにいる人達はポイペットでは仕事が無いから出稼ぎに来てるんだな、あんな服を着て顔も汚いから住む家もきっと凄いんだろうな、病気とかもかかりやすい環境なんだろうな、出てくるのはマイナスなことばかりである。そんな事を考えながら国境の大きな門をくぐった。いきなり足の無い人が足元に座っていた。例によって両手を合わせている。全くカンボジアの知識を持たない私でも、これは地雷でやられたんだなとすぐにわかった。よく見れば道端には足の無い人が結構たくさん見受けられる。おいおい、もしかして簡単に踏んでしまう物なのか?俺は足を無くすのも死ぬのも嫌だぞ!と緊張感が私の中を走った。私はそんな彼らをかわいそうという哀れみの目で見ることしかできなかった。オカさんにうながされて一路カンボジアこどもの家の宿舎へ。今はまだ不安しか湧いてこないのが現状である。どうなるのかなー私。