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今回は,「カンボジアこどもの家」の代表、栗本さんのお話しから、私自身が考えさせられたことをお話ししようと思います。栗本さんご自身は、あまり自分のことを書かれるのは好きではない、とおっしゃっていましたが、私自身、お話しを聞いてすごくボランティアの根本を考えさせられました。その一部をあえてこの場をかりてお話ししようと思います。
また、今回をもって私の「カンボジアこどもの家に参加して」の連載は最終号とさせて頂きます。私の体験を読んで頂き,少しでもカンボジアという国に興味を持たれた方がいたとしたら、とてもうれしく思います。できることなら、実際にみなさんにもカンボジアを訪れていただければ、と思います。
●○●第5話:相手の立場に立たないボランティア!?●○●
ツアー1日目のバンコク到着の日は、栗本さん自らが迎えに来てくれた。バンコクから国境の町、アランヤプラテートまではバスで5時間近くはかかる。その間,栗本さんから、まだ見ぬカンボジアの話、「カンボジア子どもの家」の活動について、栗本さんのボランティアに対する考え、等いろいろお話を聞かせてもらった。このとき私
は栗本さんに、「日本へ帰ったら、メールイカロスで今回のカンボジアでの体験をみんなに伝えるつもりだ」と言った。すると栗本さんは、「ぜひ伝えて下さい。私のことは書かなくていいから,子どもたちの姿を伝えて下さい」とおっしゃった。どうやらご自身のことを書かれるのは好きではないようだ。しかし、今回で連載も最後なので,あえて栗本さんの名前を出させてもらいたい。
栗本さんのお話しの中で、私にとって、とても印象に残った言葉があった。「私はボランティアをする上で、絶対にしてはいけないことが2つあると思う。それは、1.相手の目線で物事を見ること、2.相手の立場になって考えること。」
えっ??聞き間違いかと思った。その2つはボランティアをする上で、一番大切なことなのではないかと思ったからだ。栗本さん自身も、ボランティアをしてきたこの20年間、これを一番大切なことだと考えてきた、と言う。それでは、なぜ全く逆のことを考えるようになったのだろう。私はわけがわからなかった。
「これら(1、2)をしようと試みたとき,自分はどの位置にいるのかを考えるとわかるよ。」と言われた。「相手の目線になって、と考えている時点で,自分が上で、相手が下と位置付けているのではないだろうか。」ということだった。確かにそうかもしれない、と思った。「ボランティアをする上で一番大切なのは、相手にあわせることではなく、ありのままの自分をもって、現地の人たちと仲間になろうとすることだと思うよ。」
頭では納得した。これまで自分が経験したこともない立場に立とうとし、その目線でものを考える、というのは確かにムリだ。栗本さん自身,相手の立場にたっていたつもりが、実際には相手の気持ちを全く分かっていなかった、という苦い経験をもっておられた。寺子屋の生徒に奨学金を手渡す式が行なわれ,その式の後、奨学金を受け取った子どもに言われたらしい。「みんなの前で奨学金を受け取るのはいやだ。毎回貧乏人だということを発表されてるみたいなんだもん」他の奨学金を受け取った子たちにも尋ねると、同じことを言ったらしい。
想像の上だけで相手の立場に立ったつもりになり、同情心から何かを「してあげよう」、という気持ちでボランティアをしてしまう。相手が本当にそれを望んでいるのかもわからないまま。
「してあげている」という気持ちを(自分でも気づかず)持って活動している人は意外とたくさんいるのではないだろうか。
カンボジア滞在最後の日,栗本さんに孤児の子が住む家へ連れていってもらった。第1話で紹介したアマイちゃんとアキちゃん以外にも,カンボジア子どもの家では現在、十数人の孤児支援を行っている。カンボジアの人々に里親になってもらい、孤児の子どもたちはそこで生活している。
私が連れていってもらった家も、特に裕福な家ではなく、村の平均的な家だった。平均的といっても、日本人の感覚からは、なぜこれで生きていけるのかわからないくらいひどい環境である。トイレもシャワーもなく、家は藁と竹でできていて、家の中はずっと洗っていない茶色くなったハンモックがかけてあるくらいで、家具なんかは一切ない。ここに住む孤児の男の子は、栄養失調でお腹がぽっこり出ていた。しかも、この子は8才だと聞いたが、どう見ても4歳くらいにしか見えなかった。この環境を見て、この立場に自分を置くのは、相当な覚悟が必要だ、と思った。それを軽々しく、「相手の立場に立って」だとか、「相手の目線になって」とか言うのは、苦労を知らない人間のエゴだな、と思った。
ツアー最後の日になって、やっと栗本さんのおっしゃったことの意味がほんの少しだけ分かったような気がした。1回のツアーで学べることなんてこんなもんだ。また機会をつくってカンボジアを訪れよう!